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TRIZは語る「水素自動車はない」

TRIZとは、ロシア生まれの「発明問題 解決の理論」、主に機械工学の世界で、創造的に課題を解決するアイデアを生み出してくれるものです。’94-‘96年に前職の海外研修制度で米国MITの修士課程に行かせてもらったのですが、当時、私が学んだProfessor Nam P. Suhの「公理的設計法」の周辺でも、「公理的設計法」の定義する「良い設計」を実現するのに必要なアイデアを生み出す手法として注目を浴びていました。日本でも、日経メカニカル誌(当時)が「超発明術TRIZ」という特集を組むなど注目されていました。帰国後、自分も社内外さまざまな場で、「公理的設計法」と東大畑村洋太郎先生の「創造設計原理」そして「TRIZ」の関係をお話しさせていただいたりしておりました。その時使ったプレゼンテーションを見返す機会があったのですが、昨今のクルマのカーボンニュートラル対応の中で話題となっている水素の扱いについて大きな示唆があることに気がつきました。

それはTRIZの中の「技術システム進化の法則」というものです。スライドの中にある様に、技術システムが進化していく方向には法則性があり、これを意識することで、次世代のシステムを検討する方向性を見出すことができます。ここで注目していただきたいのは「エネルギー経路の短縮」の項です。

TRIZfor1KF p18.jpg

現在議論されている水素自動車(FCも水素エンジンも)、電気エネルギーを使って水素を生成し、その水素は極めて制御(保管・運搬)が難しいものです。すなわち、水素自動車はこの進化の法則に反するもので、TRIZが体系化された1940年代の時点で将来性はないと断ずることができたということです。(アポロ宇宙船の様な環境の異なる利用は別です。)

このことを別としても、インフラも車両も普及が進まない水素にリソースを喰われながらBEV化の荒波を越えることができるとは到底思えません。ガラケーの時代携帯電話業界の雄であったNOKIAがスマホ対応を誤り一夜にして消えたことを思い出さずにいられません。
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